シツ谷右岸の道に車を停めて出発
尾根に乗るとツツジが咲いていた。心が和む。
新緑の急斜面を登っていく。
主稜線は穏やかな植林帯。ただし手入れはされていない。
ふと足下を見るとイワウチワが。
途中、雨に降られながらもなんとか山頂着。
登っているときはガスに隠れて見えなかった山々が姿を現した。
最後は急斜面をエイっとばかりに下りた。
GWに入った。前半は山に行かず家の用事をしようと思っていた。そこにそばつるから釈迦嶺に行くと連絡が入る。大垣出発が5時との事。それなら午前中には下山して帰ってから家の事もできそうだ。連れて行ってもらう事にする。
予報では天気は良さそう。実際に大垣を発つ時はいい天気だった。しかし、徳山ダムを越えた辺りで県境を見ると雲が垂れている。ちょっと嫌な感じだ。
トンネルを抜けて塚に出たところで「通行止め、福井県には抜けれません」の表示。どうやら道路上に土砂が崩れてきているようだ。これでは釈迦嶺は諦めざるを得ない。どうするか。すぐに思いついたアイデアは途中で見えた上谷山へ登る事。そばつるも異論無し。
上谷山へは9年前に登った事がある。その時徳山ダムは当然まだ工事中。その時の記憶を頼りに登り口まで向かった。しかし登り口付近は当時とかなり風景が変わっていた。当時は見る事のできなかったシツ谷の大きな滝も林道から見えるようになっていた。
当時登った尾根はわかったがどこから取り付けばいいのかわからずしばらく付近を探索。結局シツ谷右岸道路の駐車スペース近くから取り付いた。
取り付きは滑りやすい急斜面で足下に気をつけながら一登りすると尾根上に出る。尾根は初め穏やかだがすぐに斜度が増し始める。やせた急尾根を進んでいくと傍らに山ツツジが咲いていて心が和む。
尾根は上部に向かう程斜度が増し若木や枝を掴んで身体を上に運ぶ。芽を出したばかりの若葉が周りを鮮やかな緑に染め目を楽しませてくれる。
やがて斜度が緩くなると尾根の右半分は杉の植林帯となる。打ち捨てられた植林のようで枝を払われた跡もない。
主稜線に出た地点は下山時には見逃しやすそうだ。目印にそばつるが持ってきた赤布を付ける。
主稜線はしばらく起伏の少ない穏やかな地形だ。その中にわずかだが踏み跡らしいものが見受けられまた時折目印もある。歩きやすくはないが難しくもない。ここからそばつるにトップを行ってもらう。
尾根はやがて次第に斜度を増していく。そしてヤブも濃くなっていく。更に空模様がここにきてかなり怪しくなってきて雨がパラツキだした。なんだかモチベーションが下がる状況だ。それでも何とか気力を振り絞り進んでいく。
斜度が次第に緩くなって周りがブナ主体の樹林帯になった頃雨脚が強くなった。そばつるの龍神様が久し振りに身体を震わせているようだ。しかしここまできてしまった以上とにかく山頂を踏もう。その後はその時また考える事にして。
降る雨に樹林も笹薮も濡れはじめそれが衣服を濡らし始める。やばいなあ。こんな時に限ってカッパを持ってきてない。というか今日はカッパ必要なしと思っていたのだ。龍神様をなめてはいけなかった。
やがて平坦な地形となって山頂が近づいてきた。するとなんと空が晴れてきた。今まで雲に隠されていた県境の峰々も姿を現しはじめた。おお!神様ありがとう。それからはそれまでの雨がウソのような晴れとなりホッと息をつく。
山頂で日差しを浴びて休憩をとる。濡れたからだが次第に暖まってくるのがわかる。それとともに心も暖かくなっていく。
山頂から南には鏡山の平坦な山頂部が見える。その北側の沢筋には雪が所々残っていた。鏡山までは尾根続きでヤブコギ1時間くらいだろうか。行けなくもなさそうだが今日は行かない。
十分な休憩後は往路をそのまま辿って下山。主稜線からは登高時には見られなかった県境の山々が眺められ思わず足を止める。眼下には緑色をした徳山ダム湖が横たわる。稜線の樹林を吹き抜けていく風はさわやかで清々しい。今日もすてきな山行となった。その事に満足して急尾根を下っていった。