マラニックコース整備の為に駐車場を出発。
真夏に日差しが樹間から降り注ぐ。
危険箇所にフィックスロープを張っていく。
ひっそりと静まり返る午後の夜叉ケ池。
明日の本番に備えて今晩はバーベキュー。
多くのランナー達がここを折り返していった。
夜叉ケ池伝説マラニックのボランティアに出掛けた。
この大会は夜叉ケ池伝説にのっとって神戸町から夜叉ケ池の区間を走って行くというもの。今年で18回目だそうで参加選手は300人強。年々盛況だそうだ。OSKはこの大会の後援をしており大会当日にはボランティアを募ってコース上の安全確保や選手の支援をする。そのボランティアにはじめて参加した。
大会初日の24日は真夏の日差しが肌に痛いくらいの好天となった。スタート地点の神戸では気温も高く吹く風は生暖かい。こんな中を走る選手は大変だろうなあと心配しつつOSKの担当区域である夜叉ケ池に向かった。
ルート整備のため10時半頃から夜叉ケ池の登山道を歩き出したがかなり暑い。樹林に覆われた登山道さえこの状態。炎天下を走っている選手達の感じる暑さは如何ばかりであろうか。
登山道を歩きながら順次安全確保の為のテープやらロープやら設置していく。特に稜線にあがる手前の岩場にはフィックスロープを確実に設置していく。怪我人でもでたら大変だからここは神経を使う。といっても僕のようなヒヨッコはベテランさん達のやりようを遠巻きに見守っているだけだが。
一通りの作業を終え夜叉ケ池畔で休憩をとる頃にはもう2時を過ぎていた。流石にここまでくると真夏とはいえ涼しさがある。ほとんどの登山者はすでに下山してしまい静けさを取り戻した池は不思議に心が休まりいつまでも過ごしていたくなる。
夜叉ケ池にはいろんな登山者が来る。街着のまま登ってくるっていうならまだましな方で草履で登ってくる人や皮のビジネスシューズで上がってきている人までいた。本人達は何とも思ってないのだろうが傍から見るとヒヤヒヤしてしまう。かく言う僕もかつて同じような事をした経験があるので強い事は言えないのだが。
ゆったりした休憩を終えてコース整備のやり足りないところの補助をしつつ下山。駐車場に着くと汗まみれの服を脱いで水浴びをはじめるメンバーもいた。
夜叉ケ池に選手が現れるのは明日早朝。その為に我々は駐車場で一泊する事になる。一泊となれば宴会。という事でさっそく焼き肉パーティ。総勢30名を越す大宴会が始まった。
二日目、登山道組は3時起床、夜の明けない頃から登山道を歩きはじめた。この頃には選手達はすでに坂内で二日目のスタートをしている。
5時半頃夜叉ケ池に到着。選手を迎える準備をして待機。しかしのんびりしている暇もなくすでにトップの選手が幽玄の滝を過ぎたという連絡が無線に入る。早い!OSKのメンバーの動きも慌ただしくなる。
僕は何を担当していたがというと選手が夜叉ケ池まで来ましたよという記録写真の撮影。一人一人を到着順に撮っていく。中には仲間数人やご夫婦で写られる方もみえる。それぞれにみんないい顔をしている。存在感のある顔と言うか、達成感で満たされた顔と言うか。何かをやった人の顔。疲れ切った表情の方もみえたがそれでもそこから何かを訴えてくるものが感じられた。少しガスがかかって幻想的な夜叉ケ池をバックに様々な表情が次から次へとレンズの前に現れまるで一つの物語のようでもあった。
実際に一人一人の選手にはそれぞれの物語があるのだろう。昨年はここまで来れなかったけど今年は池が見れたという人。遠い地からやってきてはじめて夜叉ケ池を見てたたずむ人。お互いの健闘を称えあう人。いろいろな姿があった。
池を訪れても選手達にゆっくりしている時間はない。せいぜい自分の携帯に池の写真を撮る位の余裕しかなく慌ただしく往路を下っていく。しかし逆に時間がないからこそ池の事が強く選手達の印象に残るのかもしれない。「また来年も来ます」という選手の声にそれは現れているような気がした。
最後の選手を送り出してこちらも下山にかかる。下山する頃には朝からかかっていたガスが晴れてきてそれまで肌寒いくらいだった池周辺も暑くなってくる。
下山はテープ類の回収をしながらゆっくりペース。登山口駐車場に着くと登山口を担当していたグループが昼食の用意をして待っていてくれた。初参加の夜叉ケ池伝説マラニックし得んボランティアは楽しいうちに二日間の幕を閉じた。