川浦林道の車止めから今回もエコカーで。
日河原洞広場のトイレは何時もの通り。何時誰が使うのやら。
箱洞に入ってすぐの美しい滑。
小滝が幾つか現れるが難しいところは無かった。
左岸にかかる大滝。遥か頭上から落ちてくるようだった。
きれいな淵の簾滝は左手をシャワーで登る。
左岸にかかる簾滝がきれいだ。
二俣にはいいテン泊地が。
きれいに渦を巻く淵。こうやってだんだん大きくなっていくのか。
赤い岩肌の階段状の滝が幾つか現れる。
沢が広くなるとゴーロ状になる。
ドウの天井直登沢は巨岩帯。
角張った滝などいくつかの滝が現れた。
細いチョックストーン滝。倒木を使ってなんとか登る事ができた。
連瀑帯は高度感があって緊張する。
きれいに整備されたドウの天井三角点広場
舗装路は稜線上を東へ向かっていた。
平家岳の左手に加賀白山がかすんで見えた。
根上檜の巨木。ごつごつしてまるで化け物。
古い切り株がいくつも残されている。
明神山は展望は無いものの感じがいい。
下山時は滝を懸垂下降。
端正な美しさをもった滝。見とれてしまった。
この夏、盆休暇を利用して登るはずだったOSK選定奥美濃30山B級の最後の未踏の山、ドウの天井へ向かった。盆休暇の時は天候が悪く途中で退散したが今回は天候もいいようなので最後まで行けそうだ。
ルートはドウ(洞)の天井を目指すのだから洞から詰めるのが本筋だろうと箱洞からの沢遡行とした。稜線続きの同じく未踏の明神山も訪れようという計画だ。
9月18日(土)
川浦谷林道車止め前に車を停め準備をしていると道路補修の工事関係者だろうか、何人かがゲートを開けて車で入っていく。どうやら今日はゲートには鍵をしていないようだ。これはラッキーとばかりにゲートを開けてマウンテンバイクを乗り入れ日河原洞広場(初めて正式名称を使いました)に向かう。途中、工事関係者達が話している脇を通ったので大きな声で挨拶。向こうはきょとんとしていた。道路の補修は以前よりかなり進んでいた。
灯りのない銚子滝トンネルは車止めが外されていて自転車でも入りやすかった。抜けて日河原洞広場に自転車をデポ。そこからは銚子の滝歩道を歩いていく。この歩道は少し荒れてきている。途中3本の吊り橋が架かっているが今は最後の一本が完全に落ちている。その落ちている橋の少し先が箱洞の出合だ。
箱洞に入るときれいな滑が向かえてくれる。その先は倒木が流れをせき止めているところが何ヶ所もあり折角の美渓をスポイルしている感があるがアクセントになっているとも言える。
谷が狭くなってくると両脇も立ってゴルジュの様相を呈してくる。3~4mの斜瀑を幾つか越えてふと前方を見ると10m以上はありそうな垂瀑が。これはとても越えられそうにないと思って近づくとそれは左岸にかかる滝でそこから沢は左に折れていた。この垂瀑は上にも同じような大きさの滝があり両方合わせるとかなりの規模だ。この滝をはじめこの沢の両岸にかかる滝は何れもかなりの高さから落ちてきていて見応えがある。
5m程の滝を右側から巻くと空が開けてきた。その先のきれいな淵のある赤い簾滝は左右を巻くのは難しそう。よく見ると淵の左の水の中に棚がありそこを渡って滝をシャワーで越えた。
左岸にかかるきれいな簾滝を2本見送って間もなく二俣に出た(正確には三俣だが一番右の沢は涸れ沢)。ここを右に行けば明神山の北のコル、左に行けばドウの天井だ。今日はここをテン泊地とする。たった3時間しか稼いでいないがゆったりする事が大切なのだ。
この二俣辺りは地形図で見た通り広くなっていて少し探すとテント設営に向いた場所が見つかった。そこに今夜のねぐらを作って後は有り余る時間をのんびり本を読んだりしながら贅沢に過ごした。夜はもちろん焚火をして味噌鍋と酒でほろ酔い気分。一人沢泊を存分に味わった。
9月19日(日)
ついつい油断して予定より30分程遅れて出発。左俣を入っていくとのっけから楽しい風景。小さな釜が水流によって絵に描いたような美しい渦を描いているのだ。その美しさに思わず見とれてしまいそうになる。
その先の4m程の滝は左側をよじ登って越えた。上に出ると谷は開けて明るくなり階段状の小さな滝が幾つか現れる。階段状と言ってもぬめったようなものもあり慎重に登る。何れも赤い岩肌をしている。
4mほどの滝をシャワーで越えると沢はぐんと広くなりゴーロ状となる。ここでGPS君が地形図を読み違えた。GPS君は「今二俣にいます」と言っているが枝沢のような急な沢はあるもののこれが二俣の沢とは思えない。見落としたのかとシャワーで登った滝まで戻ってみたが「ここまで来ると戻り過ぎですね」とGPS君。そこで再び登り返したが面倒なのでメインと思われるところを進んでいく事にした。するとGPS君が迷いだしたところから更に先に進んだところで二俣となった。GPS君に確認してみると「すみませんでした。ここでいいみたいです」との返事。これだけ深い谷だとGPS君も地形図を読めないようだ。
二俣はドウの天井直登を目指し左に入っていく。巨岩帯となるが難しさはない。やがて角張った滝が現れた。水流はわずかだが暑さをしのぐためシャワーで抜ける。続く滝を5つ程越えると右岸側の岩壁が張り出してきた。怪しいなあと思って進むと狭いチョックストーン滝。両岸が立っており難しそうだ。幸いな事に流木が挟まっておりこれを足がかりに右手岩盤に取り付く。そこから中段の狭い棚に乗りなんとか落ち口に辿り着いた。落ち口にはガレが堆積していた。狭くてここを通り抜けられないようだ。
落ち口から先、右手はガレ沢となり左手は流木の挟まった6m程の滝。水流は左手の滝を落ちてきている。ここは水流に従って滝の方に進んだ。
嫌な予感がしていたが滝を登るとその上に更に滝が続いて連瀑帯の様相を呈してきた。意外と高度感があり緊張する。左右に逃げられるところもない。
一つ目は滝の左手側から登り上部で低木に捕まり越えた。二つ目は細い流芯を行くが上部でザックが挟まって抜けられない。右手を探ると少し外にでたところにホールドがありそれを使って体勢を変えて登る事ができた。ここまでが高度感があり緊張したところだ。その先も滝は続くが比較的楽に越えられた。
なんとか水流を追って連瀑帯を越えると沢は一旦穏やかになる。詰めはガレ沢の急登となり最後にひょこっと立派な舗装路に出た。聞いてはいたがなんだか一気に気が抜けた。
舗装路を左手に進んでいくと右側にドウの天井三角点に向かう遊歩道があらわれた。舗装路には広場が設けられ駐車用のラインまで引かれている。一体年間何人ここを訪れるのか知らないが随分立派に整備されている。因みに舗装路はそこから東に続く稜線沿いに進んで下っていっている。一体どこまで続いているのやら。
三角点広場も整備されている。三角点はきれいにブロックで囲まれていて誰が見るのか周囲の山々の山名を刻んだパネルが二つ設けられていた。確かに展望はいい。奥美濃の名だたる山々が一望の下だ。ただ奥美濃30山の最後を登ったという感慨がわいてこなかった。まるでどこかにピクニックにきた感じだ。
しばらく休憩して舗装路を下る。道の向こうには能郷白山が青空の下に横たわっている。右手をみれば平家岳越しに加賀の白山。いい眺めだ。
靴を履き替えガードレールの端から明神山へ向かう稜線へと下りていく。薮の中に薄い踏み跡があるようだが正確にトレースし続けるのは難しい。しかし1114のピーク前後から踏み跡はかなり分かりやすくなった。
この稜線は伐採された跡がそこかしこにあり錆びたワイヤーロープも残されていた。巻き付けた木の幹にしっかりめり込んでいたから随分古いもののようだ。何時頃伐採していたのだろうか。
また稜線には根上り檜の巨木も多くあり目を楽しませてくれる。中にはこぶこぶしていて化け物のようなものもあった。
1時間半程稜線を歩いて最後に笹まじりの急斜面を登ると明神山山頂に着いた。山頂を示すパネルが二つかけてあった。展望はないがのんびりするにはいい山頂だ。近くには檜と広葉樹の根と幹が複雑に絡み合ってできた巨木があり面白かった。
下山は薮の中の薄い踏み跡を追って北側の最低鞍部まで下りそこから東の斜面へ飛び込んだ。最初は下りやすかったがその内沢筋に出ると滝がでてきてロープを出した。しかしその先の滝で行き詰まった。高さはそれほどないと思うがロープを出す支点がない。となりの沢をのぞくとそちらの方が下りやすそうで少し登り返してトラバースし隣の沢に下りた。この沢が本流のようでそこからは問題なく下れた。
途中左手から沢が合わさったところで不図そちらを見ると見事な垂瀑がかかっていた。落差20m程あるだろうか。絵に描いたような端正な美しさをもった滝だ。荒々しい滝が多い川浦渓谷周辺では珍しいのではないだろうか。
荒れた沢を下っていくと間もなくでテン泊地の二俣に出た。テントと荷物を回収し少し腹ごしらえをしてから出発。昨日シャワーで登ったきれいな淵の簾滝をどうやって下りるかが課題だったがなんとか右手から巻いて下りる事ができた。後はそれほど問題なく思ったより早く出合に出る事ができた。日河原洞広場からは自転車でしかも下り。あっと言う間に川浦林道車止めに着いた。ゲートは今日はしっかり施錠されていた。