コンクリート橋の残骸袂から入渓。
広いゴーロ状の沢が続く。
ゴルジュとなって渕が現れる。
行く手を阻むかの様に滝が…。
なんとかシャワーで乗り越えてホッ。
このチョックストーンは左岸を簡単に通れる。
白い岩肌の巨岩が涸れ沢のアクセントとなっていた。
斜瀑は左側の灌木を掴んでよじ登った。
岩壁の下から清水が湧き出ていた。
小津権現山山頂には他に登山者無し。
徐々にガスが薄れ花房山などが見えてきた。
気持ちのいい二次林の中を地形図を読みながら下る。
揖斐川沿いに国道303を走っていくと目を惹く谷がある。以前から気になってここを登ったらどんな風だろうと思っていた。その谷の名は大蔵谷(「おぞうだに」と読む)。樫原を越えたところにかかっている割と高さのある橋の下を流れている。小津権現山に南西から突き上げており地形図を見ると結構深い。
インターネットで探ってみたが沢登りをしたという記録は探せなかった。記録があるのかもしれないが僕の持つわずかな情報の中にはこの谷は出てこない。ひょっとしたら沢歩きには不向きな谷なのかもしれない。それでも行ってみたい。
そばつるの車で揖斐へと向かった。樫原を越えて橋の袂から大蔵谷右岸の林道に入っていく。林道は最初の枝沢出合のところから先は流されており車はここまで。
林道跡は奥に続き辿っていくとコンクリート製の橋の残骸が現れた。橋の両側が流されて橋のみ取り残された感じだ。更に奥に行くと二つ目の残骸が現れそこから沢へ入った。
最初は細い沢だがその内広くなりゴーロ状となる。大きな岩がゴロゴロしている。倒木や流木が目につくところを見ると近年荒れたのだろう。ところどころ山腹が削り取られているところもあった。
広いゴーロを抜け沢が狭くなると右岸の枝沢に10m程のりっぱな滝がかかっていた。そこを越えるとゴルジュになり淵や小滝が現れ雰囲気がいい。
少し進むと行く手を阻むような6mほどのチョックストーン滝が現れた。これは登れないかとひるんだがよくよく見ると途中が棚になっていてそこに上がれば何とかなりそうな雰囲気。取り付いてみると手がかり足がかりがあり思ったよりも容易に棚に上がる事ができた。そこからはさまっている岩の下をくぐり抜け流れに出てシャワークライム。今日はシャワーをするつもりは無かったのだがこれはこれで楽しかった。
その後も幾つか滝が現れるがこれといったものはなかった。5mほどのチョックストーンを左岸から易々と越えると地形図にある水線の引かれた二俣に出た。ここを右俣に進んでいく。
地形図には水線が描かれているが全くの涸れ沢だ。水流があれば滝になっているだろうと思われるところも何ヶ所かあったが行けども行けども水流は見られない。そのかわり白い肌をした巨岩が幾つか現れて目を楽しませてくれた。秋が深まれば紅葉と相まって美しい風景となる事だろう。
涸れ沢を歩く事一時間程で標高720mの二俣に出た。ここは山頂に向かう左俣へ進む。一旦広い穏やかな沢となるがすぐに狭くなりその先に滝がかかる二俣が現れる。ここは左の6m程の斜瀑の左側を灌木を掴んでよじ登った。ここら辺りから沢に再び水流が現れた。しかも沢を登る程に水量が増える。下部で水を汲んできたそばつるはぶつぶつ。この水流を辿っていくと途中から沢から離れたおかしな方から流れていた。不思議に思って辿ってみると岩壁の下から水があふれていた。思わぬ岩清水に出会い一口飲んでみる。まさに甘露でそこらにある名水よりよっぽど美味しかった。そばつるは汲んできた水をここで汲みかえていた。
沢は次第に斜度を増すが薮は被っておらず登りやすい。本流と思われる筋を進んでいくとやがて尾根に突き上げていく。登山道のある尾根に出るのかと思っていたがどうやら支尾根のようだ。尾根上に出て灌木帯を越えたり岩を越えたりしながら進んでやっとの事で登山道に出た。そこからはハイウエイのような登山道を一気に山頂へ。
結構メジャーな山だから山頂は人であふれているかと思いきや誰もいなかった。後から若い単独登山者が登ってきたのみ。貸し切り状態で思いっきり荷物を広げてゆっくり休憩。ガスっていて見えなかった風景は時間が経つにつれガスが薄れ東の西台山、タンポ、北の花房山などが見られた。花房山に向けてはここから登山道が開かれたようで「花房山登山口」の標識が立っていた。しかしこれだけの長い釣り尾根に登山道を開く労力とはどれほどのものだろうか。
下山は登山道を高屋山(956.0m△)の手前のピークまで下りそこから南西へ伸びている尾根へと下りていった。登山道は以前に比べ歩きやすくなった感じだ。
南西に伸びる尾根は最初こそ笹薮を漕いだがその後は思っていたよりも素性がよく下りやすかった。二次林の森の雰囲気も良かった。尾根沿いにはうっすらとだが踏み跡が見受けられた。どういった人たちが歩いているのだろう。
地形図を読みながら下り最後は標高点397mのある支尾根を進んだ。しかし最後の最後で予定外の小尾根に迷い込んでしまい急斜面を木を掴みながら下りるはめとなった。