沢の徒渉地点を越えると崖の下に氷柱が青く光る。
北面台地末端からしばらくは穏やかな樹林が続く。
樹林帯の急斜面が続く中を息を切らせながら登高。
ふと脇を見るとミニモンスターがこちらを伺っていた…
見上げるといい沢が。ここを登っていこう。
上を見上げれば巨岩が落ちてきそうなくらい張り出している。
やっと山頂着。乗鞍岳の峰々の連なりがすばらしい。
北側には穂高から笠ケ岳の大パノラマ。
登った沢を滑ったもののモナカでした。その後の樹林帯はパウダーがよかった。
平湯で前夜から車中泊。
星空がきれいに見えていて明日の好天が期待される。
朝はそれほど寒くもなく6時頃平湯キャンプ場に車を移動。
雪解けをしてある駐車場に車を止める。
施設は使われていないようだが雪がどけてあるのは登山者のためか。
準備を終えてキャンプ場の奥に進んで行く。
取り付きがわからないと思っていたがトレースが幾つも残されていて心配なかった。
トレースを辿ると尾根に挟まれた小さな谷に入って行く。
先に進むとトレースは左手の小さな沢を登っている。
結構な急登だ。
下はガリガリの雪なのでクトーをつけた。
途中から右の斜面に乗ったがなかなかきつい。
急斜面を登りきると穏やかな台地。
ここを奥に進むと再び急斜面の登り。
前半から急斜面の連続で息が切れる。
登りきったところがまた穏やかな台地でその奥のわずかに高いところに水平道がある。
ここを進んで行くと徒渉地点の上に出る。
徒渉地点まで慎重に降りてわずかに残るスノーブリッジを渡る。
今にも抜けそうな感じでヒヤヒヤものだった。
渡ったところからわずかに沢を下る。
途中で崖下に氷柱ができている。
透明感のある青い色が神秘的だ。
氷柱を越えたところから雪のついた崖のようなところを10mほど登る。
流石に上部では板を外して登った。
崖を登りきると四ッ岳北面台地の末端だ。
ここからしばらく穏やかな樹林帯が続く。
のんびりスノーハイク気分だ。
穏やかな樹林帯が終わると再び息の切れる急斜面。
ここを登りきると再び穏やかな樹林帯。
この繰り返しで徐々に高度をあげて行く。
上部に至るといくつかあったトレースは消えてしまい一本のみになった。
おそらく昨日登られた方のトレースだろう。
不案内な僕にはとてもありがたい。
トレースは右手に回り込んで進む。
左に行くとばかり思っていたので意外だったがそのまま辿る。
しかしこれで正解だった。
急な登りを終えて穏やかな樹林帯を猫岳方向に向かって進む。
広い沢のようなところを越えたときふと左手をみるといい感じの無木立の斜面が見えた。
これが四ッ岳の北面カールか。
トレースは更に西に進んでいるがここで分かれてこの急斜面を登る事にした。
しかし後でわかるのだがこの斜面は北面カールではなかった。
北面カールは更に西にありトレースを辿って行けばよかったのだ。
急斜面を幅一杯に使ってジグザグに登って行く。
雪面は凍っておらず安心して登れる。
振り返れば青空のもと笠ケ岳や穂高の大パノラマ。
急斜面を登り終えるとそこは小さな沢になっていた。
左手は岩がゴロゴロしている。
上をみると幾つかの巨岩が今にも落ちそうなくらい張り出していて恐ろしげだ。
沢を少し登って右手の尾根にあがる。
ここで初めて本物の北面カールは更に西であった事を知る。
完全に地形図の読み違えだ。
どうりで急斜面を登りきるのが早いはずだ。
だからと言ってこれが失敗だったかというとそんな気はしない。
これはこれでいいルートだと思う。
下りもここを滑る事にしよう。
尾根の斜面は徐々に急になり所々クラストしていて慎重な登高となる。
クトーなしでは登れないだろうな。
急斜面をあがって岩場を越えると山頂に続く稜線だ。
登って行くに従って眺望がどんどん広がって行く。
笠ケ岳や穂高はもちろんの事振り返れば先日噴火した浅間山も見える。
白くあがっているのは噴煙だろうか。
猫岳が右手下に思ったより小さく見える。
誰かいるかなあと思ったが人影は見られなかった。
途中からアイゼンの跡があった。
トレースの主は途中からアイゼン登高に切り替えたようだ。
カールを登ってきたのだから当然かもしれない。
下りはどうしたのだろう。
スキーを担いできてここからカールに飛び込んだのだろうか。
アイゼン跡が現れてからわずかで山頂に辿りついた。
そこは360°の大展望。
長くて急な登りの苦労が一気に報われる。
今まで姿が見られなかった白山も神々しく輝いている。
その左に視線を移すと野伏ケ岳が見える。
その奥には能郷鵜白山も。
南の乗鞍岳本峰の連なりもすばらしい。
風の弱いところで一休み。
少しだけ焼酎で乾杯。
時間的に難しいかと思っていたが途中で諦めなくてよかった。
休憩後は稜線に沿って滑り降りて行く。
ここの滑り出しが雪質がよく気持ちよかった。
登ってきた沢は気持ちよく滑れるかと期待していたがモナカになっていて慎重な滑りになった。
この沢の下部で休憩。
笠ケ岳、穂高を見ながらのランチタイムとした。
ランチ後は樹林帯へ。
上部ではパウダーツリーランが楽しめた。
あまり楽しいので滑りすぎてルートを外してしまった。
なんとかトラバースして戻る事ができたのでよかったのだが。
下部では雪質が悪くターンするのに苦労する。
斜滑降やら横滑りやら取り入れつつ下りていく。
穏やかな樹林帯は雪質は悪かったが楽しく木々を縫えた。
徒渉を終えてからも急斜面の下りは慎重に進む。
最後の沢はほとんど横滑りだった。
それでも思ったより早い時間で下りる事ができた。
下山後は「ひらゆの森」で入浴。
はじめて利用したがあれだけの温泉で500円はお値打ちだと感じた。