笹倉温泉からの林道は上部でまだ雪に埋もれていた。
アマナ平からはこれから向かう焼山の他、火打も眺められる。
広々とした台地の向こうに三角形の焼山が鎮座する。
台地左手には火打山がずっとたおやかな稜線を見せてくれる。
台地上部から台地を振り返る。広大だ。
沢を渡ってふと上部をみるとつぼ足のトレース。あれを辿ろう。
急斜面を登り終えて着いたところは火口脇。火口は雪に埋もれていた。
山頂稜線には雪は全くなし。360°のすばらしい眺め。
火口から急斜面滑降後、登った細い尾根を滑る。
広々とした雪原で大きくターンして滑り降りる。気持ちいい。
前日に大垣を発ち越中境PAで車中泊。
早朝に登り口のある笹倉温泉に向かう。
今年の暖冬でひょっとしたら車でアマナ平まで入れるのではないかと思ったが甘かった。
林道は笹倉温泉奥にある堰堤よりわずかにいったところで雪が出ていた。
そこを無理矢理車で突っ切ろうとして雪に乗り上げてしまい亀状態に。
通りかかったスキーヤーに車を押してもらってなんとか脱出できたが先が思いやられる。
気を取り直して出発。
スキー板をザックに括り付け歩き始める。
林道は九十九折りに急斜面を突き上げていく。
やがて登りが緩くなってくると積雪も多くなりシール歩行に。
適当に林道をショートカット。
前方に焼山が見えるようになるとすぐに広々としたアマナ平だ。
トレースはいくつかあるようだがどれもとけかかっていてはっきりしない。
先行スキーヤーのトレースを拾いながら先に進む。
アマナ平から急斜面を一登りすると北面台地末端に出る。
そこには先行されていた方が休憩してみえた。
その道具を見ると山スキーのベテランさんのようだ。
話を聞くと焼山にはよく来ていて中腹から滑っているとの事だった。
しかし、山頂まではまだ行った事がないとの事。
その方と別れて先に北面台地へ歩き出す。
広大な雪原が緩やかに焼山麓まで続いている。
青空の下で真正面に焼山の三角錐を見据えながらの雪原散歩。
左手には焼山とは対照的な姿の火打山がたおやかなスカイラインを見せている。
日頃の些末な事などすっかり忘れてご機嫌だ。
しかし台地はあまりにも広大で目標地点が見えていてもなかなか辿り着かない。
尺ナンゾ谷の上部も広大だと思ったがそれ以上、というか比較にならない。
斜度も知らぬ間に増していて振り返って、えっ?いつの間にこんなに登ったの?って感じだ。
地形図上に出ている「大曲」のあたりで休憩。
この辺りから斜度が更に増してくる。
西側に沢を一本越したところで斜面の上部を見るとつぼ足のトレースが山頂に向かって着いている。
このままトラバース気味に西へ山腹を巻いていく予定だったがやめてトレースを追う事にした。
つぼ足のトレースはまっすぐ斜面をあがっている。
こちらもできるだけ直登で頑張ったが流石に上部では難しくなった。
ジグザグに斜面を登り岩場の手前で右側のヤブをかき分けて隣の急斜面に出る。
そこから下を見ると予定していたルートは沢状になっていてトラバースしにくそうだった。
結果的にこちらのルートを選んで正解だった。
つぼ足のトレースはなおも急斜面を直登しているが流石にスキーでは追えない斜度になっている。
でそこから急斜面をトラバースするように進んでいく。
急斜面にはいくつかシュプールが残されていた。
みんなこんなところを滑るんだなあって感心(って自分も滑るんだけど)。
急斜面で何度か方向転換して上部の岩の脇にある沢状の斜面に出る。
沢状が終わってやや広い斜面を登りきると火口に出た。
やっとつきましたぜって感じだ。
空を見上げればツバメの群れが舞って出迎えてくれた。
火口に荷物をデポしてアイゼン、ピッケルで山頂に向かう。
新調したアイゼンは着脱がしやすく軽くて快適だ。
山頂稜線は雪は全くなし。
ガラガラの登山道は兼用靴では踏ん張りが利かずちょっとビビり気味。
やっとの事で山頂パネルに到着。
やったー!念願の焼山に登頂!
しばらく感動に浸った後火口に戻りいよいよ滑降。
火口からの急斜面はしばらくすると広大な斜面となりそのまま下まで続く。
残されたシュプールはそのまま急斜面を降りている。
それを追うと気持ち良さそうだが下部で平坦なところをトラバースしなくてはならなそうだ。
しかもその距離が結構あって大変そうだ。
それを嫌って途中から登ってきた斜面側にトラバースした。
登ってきた斜面は上部が狭い。
そこを細かいターンで乗り切ると広々としたバーンになる。
ここを気持ちよく大きなターンで降りていった。
しかし振り返ると斜面が大きすぎてシュプールが小さく見えた。
途中で休憩をとりここでプシュータイムとする。
最高のスキー日和に乾杯!
休憩後更に斜面を滑り降りていくが徐々に雪面の状態は悪くなっていく。
それでもなおスキーは滑っていくのでバランスだけを気をつける。
緩斜面の雪原に来るとテントを張っているパーティ。
焼山に抱かれて今夜は楽しい前夜祭となるだろう。
そういえば今日はこのパーティ以外に北面台地より上では誰にも会っていない。
こんないい日だから人であふれるだろうと思っていたがラッキー!
北面台地から下って林道を途中までスキーで降りる。
しかし途中で林道を見失う事数回。
実は持参した地形図には林道部分が載っていなかったのだ。
林道だから大丈夫だろうと思っていたのだが甘かった。
雪のついた状態では林道はわかりづらい。
地形図はスタートからゴールまでもたないとダメだと反省した。
車を亀状態から救ってくれた先行者には北面台地にあがった後出会わなかった。
後ろからついてくる気配もなかったのでどこに行ったのだろうと思っていた。
下山後にたまたま会う事ができ話を伺ったところ火打を目指されていたとの事だった。
こちらからでも火打に行けるのだ。
ただし時間切れで途中から戻ったという事だった。