多良峡で牧田川を渡り佐古沙谷へ。
深い淵がところどころに現れる。釣り人が喜びそうだ。
この谷一番の大滝。とても登れそうになかった。
本流を進むと小規模なゴルジュ帯となり滝が連続する。
ゴルジュの最新部で4〜5mほどの滝。左から登った。
上部の林道を越え更に進むとすだれ滝。これも直登。
稜線は雨に煙り先が見えない。
雨にぬれる笙ケ岳山頂。冷たい雨で寒かった。
シャクナゲ群落は花は終わっていた。それでもわずかに残った花が迎えてくれた。
狸隊長が上石津のシャクナゲ群落を沢を登って見に行ってきたという。
このシャクナゲ群落は僕も十数年前に気になっていたところ。
その頃は沢はもちろん山歩きもしてなかったので林道で車で行けないかなあとぼんやり思っていた。
しかし月日が流れてそんな事は頭の中から消えていた。
隊長の話を聞いて、そうだった、と思い出した。
しかも隊長が歩いたという沢もノーマークだった。
そこは地形図で見た限りいい感じ。
こんなところにこういう沢があるんだとそれを見つけた隊長にちょっと嫉妬した。
これは行かなくては、と隊長にいうとシャクナゲはもう遅いという。
そりゃそうだ。
でも沢だけでも面白そう。
更にここは大垣市の飛び地。
大垣市民としては捨ててはおけない。
前日は会社のメンバーで遅くまで飲んでいた。
ほぼスナックにいたがこんなところで出る水割りは水と変わらない。
2時までいたがそれほど酔わず同僚の家で3時間ほど寝て自宅に帰り準備。
6時過ぎに家をでて途中買い物をして多良峡に向かった。
7時頃、多良峡の駐車場について準備を始めてビックリ。
沢靴を忘れてる。
慌てて自宅に戻り仕切り直し。
それでも8時前には出発できた。
近いというのはいい事だ。
多良峡の河原に下りて幅のある牧田川を徒渉。
深さはそれほどでもなく難なく渡れた。
渡ったところが佐古沙谷出合。
出合は小さい谷に見えるが入るとそれなりの広さがある。
大きな流れではないが時折深い淵が現れる。
釣り人が喜びそうな流れだ。
左手に林道が近づいてくると小さな堰堤がありそれを越えると最初の二俣。
そこを右に進み巨岩帯を越える。
上を見ると林道の橋が架かっている。
左岸に林道を見ながら流れを歩く。
やがて大きな滝が現れる。
6〜7mほどだと思うが登れそうにない。
ここは左岸の林道に這い上がる。
這い上がったところには不動明王を奉った祠があった。
その下の滝はさしずめ不動滝といったところか。
(*狸隊長によれば「佐古沙滝」)
林道から再び流れに下りて遡行。
林道は視線のわずかに高いところをずっと進んでいく。
やがて林道流れに近づき終点になったところが二つ目の二俣。
ここも右に進んでいく。
この二俣から右手二つ目の沢が狸隊長が辿った沢のようだ。
そこを登ってシャクナゲ群落の尾根へあがったらしい。
そのまま足跡を追おうと思ったがここで狸隊長の指令を思い出した。
「お前は本流を行け!」
はっ!わかりました!隊長!
隊長の指令に従って本流をどんどん進んでいくとやがて小規模はゴルジュ帯が現れる。
そこは2〜3mほどの滝が続く連瀑帯になっていた。
深い淵があったり多少岩肌がぬめっていたりしたがどれも登り頃。
楽しく登っていく。
やがて4〜5mほどの滝が現れた。
難しそうだったがこれもなんとか越せてテンションがあがる。
楽しい連瀑帯を終え更に本流を進む。
沢の幅が広がり明るい感じだ。
時折植林が現れるがほぼさわやかな二次林が回りを囲む。
沢を右に右にとりながら進んでいく。
沢の斜度が増してくるとやがて林道が現れる。
林道を越えて更に登るとすだれのような4mほどの滝。
ここも登り頃でホールド、スタンスを確認しながら直登。
やがて沢の水が尽きて足下をスパイク地下足袋に。
樹林帯の斜面では沢靴より格段に歩きやすい。
植林の小尾根にあがって急登していくと見晴らしのよさそうな稜線にあがる。
しかし10時過ぎから降り出した雨がこのころには本降りになって何も見えない。
薄く踏み跡のついた稜線を南西に進んで笙ケ岳の東ピークにあがる。
そこから西に進むと笙ケ岳の登山道に出る。
登山道に出れば山頂まではわずか。
雨の山頂で樹林に身を寄せてビールで乾杯。
しかしこの雨ではゆっくりする気分にならない。
すぐに山頂を後にした。
狸隊長の言っていたシャクナゲ群落を見ようと地形図にマークのある尾根を下りる。
花は遅いかもしれないがそれでも少しぐらい残っているだろう。
雨で煙っている事もあって尾根がわからず水平道の通るあたりで少しうろうろした。
しかしすぐに目的の尾根が見つかり下っていく。
わずかに下ったところでシャクナゲの群落があった。
狸隊長が言っていたように流石にこの時期では花は終わっていた。
しかし苦労して訪れた事に報いてくれるようにわずかに花が残っていた。
後は林道に出て適当な尾根に突入しよう。
そう思っていたが林道に出た瞬間気持ちの糸が切れた。
雨にぬれたヤブ斜面に突入する気力がなくなった。
冷たい雨に打たれながら長い林道をトボトボと下っていった。
今が盛りと咲く藤の花がなえる気持ちを慰めてくれた。