0906akantani of 鈴鹿・美濃の山歩き

P6138243.JPG赤谷

2009年6月13日〜14日 曇り時々晴れ 奥美濃 揖斐川町藤橋 赤谷 沢登り 
秋狸さん、たろうさん、Tsutomu

1日目
9:00 塚、赤谷出合 → 9:50 道谷出合 → 10:45 大滝 →
12:20〜13:30 休憩 → 14:25 中ツ又出合 → 14:30 幕営地

2日目
7:35 幕営地 → 8:35 ミト谷出合 → 9:20〜9:50 休憩 →
10:40 ミノグサ谷出合 → 11:35 ウソ峠



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赤谷出合の林道で準備を整える。

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赤谷はしばらく穏やかな渓相が続く。

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支沢ので出合にかかる大滝。思わず見とれてしまう。

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大滝を過ぎて淵を泳いで渡る。

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滝は小規模だが淵を渡っては登れそうになく右から巻く。

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昼休憩のわずかな時間にフライで言い方のアマゴをあげる。

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時折胸まで浸かる深い淵が現れるが概ね歩きやすい。

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沢を登っていくと次第に魚影が濃くなる。

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中ツ又谷を越えたところのかわらにツェルトを張る。

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釣れた魚を焚火で焼きながら楽しい宴会タイム。

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幕営地の奥からしばらくゴルジュが続く。

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ゴルジュには大きな滝はないが雰囲気がいい。

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ゴルジュを越えると瀬歩きが続く。

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両岸の山腹には巨木が目立つようになる。

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大きな淵を持つ滝。この奥にそっくりの滝がまた一つ。

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岩の上にできた水たまりに数匹のイモリが泳いでいた。

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ふと前方を見ると林道の護岸のための吹付けが…。

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林道が脇に見えるようになると沢は薮沢のようになる。

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単調な沢が続きそうなので林道に上がる。

秋狸さんから「赤谷へいきませんか?」と誘いのメール。
「赤谷ってどこ?」ってとぼけた返事をしたのは秋狸さんといえば鈴鹿だと思っていたからだ。
「赤谷」とはもちろん奥美濃、揖斐川町藤橋の釈迦嶺を取り巻くように流れる「アカン谷」の事だ。

どうやらヤブコギネットのオフ会で赤谷の話題が偶然出てその時「行ってみたい」と言っていたようだ。
それで誘いかけてくれたのだ。

言っていたようだ、と書いたのには訳がある。
本人はそういった記憶が全く欠落しているのだ。
赤谷が話題になっていた事すら覚えてない。
しかし証人が何人かいるので実際「行きたい」と言ったのだろう。

「行きたい」と言ったのかどうかはともかく「行きたい」という気持ちはずっとあった。
ので誘いには二つ返事だ。
しかも沢泊ということで期待度大だ。
たろうさんも参加するということでますます楽しみとなる。

集合場所の道の駅藤橋ほしの里から車を一台デポするためにウソ峠(ウソ越え)に移動。
そこから戻って塚のアカン谷出合に車を停め出発。
予定より30分ほど出発が遅れたらしい(「らしい」というのは狸隊長が事前に送ってくれたスケジュールをしっかり把握してなかったからだ。すみません、隊長)

沢は幅が広く青々とした淵が所々にある。
右に左に徒渉を繰り返しながら進んでいく。
やがてイチン谷、道谷の出合を越えていく。
道谷はここを歩けば釈迦嶺を完全に一巡りする事になるが今回はやらない。

同じような表情の沢が続く。
周りはいい感じの樹林になっていてその中を歩くのはいい気分だ。
ただ背中の荷物が重い…。

狸隊長からのメールにこう書いてあった。
「宴会、骨酒」
「朝からビール?」
このキーワードに過剰反応してしまった。
それで荷物の準備は沢歩きの困難さはそっちのけで宴会モード。
ビール350ml4本、日本酒900ml1パック、ウィスキーに焼酎。
つまみの食べ物色々。
それらがずしりと肩にかかる。
それに比べ他の二人の荷物の軽そうな事。
特にたろうさんの荷物は普段の沢歩きの荷物と変わらないような感じ。

二人が羨ましい。
しかし宴会を楽しむためには荷物の重さも致し方あるまい。
幸いな事にこの沢には登りといったものがほとんどない。
これで登りがあったら多分二人についていけない。

途中で釣り人に会う。
ちょうどいい型のあまごをあげたところだった。
挨拶をしたが気分よく先に行かせてくれた。

天気予報では徐々に崩れるような事をいっていたが上々だ。
雲が流れているものの日差しもあり、その日差しに沢が照らされきらきら光って美しい。

2時間弱で右岸の支沢出合にかかる大滝前に出る。
赤谷の話が出た時に狸隊長が参考にと送ってくれた写真にあった滝だ。
これは見たいと思っていたが眼前にするとその迫力は写真の比ではなかった。
すばらしい滝だ。

大滝の前を過ぎるとゴルジュになって深い淵が待ち構えていた。
ここは右岸の小尾根にロープがあり巻き道があるようだが崖のようなところを登らねばならず下降も大変そうだ。
泳いでしまった方が安全と判断し淵に入る。

淵に足を入れ胸まで浸かったところで足下が怪しくなりエエイ!と泳ぎだす。
しかし背中の荷物が覆いかぶさり頭が思うように上がらない。
えっ、呼吸ができないじゃん!
このままだと溺れちゃうぞ!
一瞬頭が白くなったがとにかく泳ぎきるしかない。
手をがむしゃらに数m先を目指す。
それでなんとか泳ぎ着く事ができたが危ないところだった。

狸隊長は左側をへつり気味に渡ってきた。
う〜む。
たろうさんは泳いできたが余裕の泳ぎ。
う〜む。

全員淵を渡り終えるとその先はこれまた深い淵に2mほどの滝。
これは泳いでも滝が登れそうにない。
たろうさんを先頭に右側から巻いていった。

ゴルジュを過ぎると再び穏やかな渓相になる。
いくつか深い淵が現れるがそれほど難しくなく越せた。

休憩地に予定していた地形図上584mピーク脇の支沢出合には12時前に着くと思われた。
しかし行けども行けどもその出合が現れない。
いいかげんおかしいと思い地形図と地形を照らし合わせるとかなり行き過ぎてる。
どうもタンド谷の手前まで来てしまったようだ。
しかたなくここで休憩とする。
予定より進行が早い。

休憩中、狸隊長がフライフィッシングを始めた。
するとすぐに20センチオーバーのアマゴをゲット。
泊地についてからの釣りが楽しみになってきた。

休憩地からタンド谷は思った通りわずかの距離だった。
タンド谷出合から中ツ又谷出合までもそれほど難しいところもなく進む。
魚影は徐々に濃くなってますます釣りへの期待が高まる。

情報によれば中ツ又谷出合はテン泊に向いているという事だった。
しかしツェルトを3張り張るには少し狭い。
で更に少し進むと結構広い川原が現れた。
今夜の宿泊はここにしよう。

薪を集めてからツェルト設営。
徐々に沢泊気分が盛り上がってきた。

あらかた宿泊の準備を終えた後は自由時間。
僕と狸隊長は下流と上流に分かれて釣りに出発。

上流に行った僕の釣果は幕営地の近くで2尾ゲット。
さらに下流に下り中ツ又谷の出合から更に下ったところで1尾ゲット。
といったところで時間が5時になった。
そろそろ焚火の準備をしなければ。

幕営地に戻ってたろうさんと焚火の準備にかかる。
そこへ狸隊長も戻ってきた。
隊長の方は釣果がなかったようだ。
しかし昼に釣ったのがあるので大丈夫。

焚火がおこると釣った魚を串刺しにしてその周りに並べた。
それからおもむろにビールを出して宴会の始まり。
まだまだ周りは明るいけど…。

アルコールが入るとそれなりに饒舌になり話が弾む。
山の四方山話に花が咲く。
で気づいたらいつの間にか周りもくらくなっていた。

焚火の周りに並べていた魚達もいい感じの焼け具合になってきた。
その中の一尾を熱燗にした日本酒の中に入れて数分蒸らす。
骨酒の出来上がりだ。

骨酒は実に美味しかった。
たろうさんから「骨酒、おいしいですね」の言葉をもらった時は日本酒を担ぎ上げた苦労が報われた気がした。

骨酒を飲み終えたところで宴会は終了。
それぞれのねぐらに入って横になった。

赤谷の夜はすぐ間近に聞こえるせせらぎやカエルの鳴き声に包まれて実に賑やかに更けていく。
眠れなかったら焼酎を飲んでそれでも眠れなかったら本を読もうと枕元に準備したがそれらにお世話になる事はなかった。
程よい疲れが身体を包みいつしか眠っていた。
しかしこの季節とはいえ沢は冷える。
アルコール類をつめるために寝具はマットとシュラフカバーにしたので尚更冷える。
たまらず薄手のダウンウェアを着込む。
しかし足下は相変わらず寒い。
レインウェアを着ようかと思ったが面倒でやめた。

目が覚めると既にツェルトを通して随分明るくなっているのがわかる。
横ではどうやら狸隊長が起きだしてごそごそやっている。
こちらも寝具を片付けて外に出る。
隊長はツェルトの入り口に座ってラーメンをすすっていた。
随分早い。

こちらも外に出てラーメンを作る。
餅を一切れ載せて力ラーメンだ。
しっとりした沢の空気に包まれてすするラーメンはおいしかった。

狸隊長は朝食を終えてフライロッドをいじりだした。
片付けるのかなと思っていたらその内釣りを始めた。
一度ライズがあったようだが釣果はなくロッドを納めた。

なんとなく言葉もなくぼーっとした時が過ぎていく。
それが何とも心地よい。
やがておもむろにツェルトをたたみ始めた。
ぼーっとするなら荷物をまとめてぼーっとしてもいいなあと思ったからだ。

ほぼ荷物をまとめ終えてふとたろうさんが気になった。
少し離れたとこに張ったたろうさんのツェルトは起きている気配がない。
近くに寄って声をかけてみる。
するとむくむくと起きだした。

それぞれに荷物をまとめて7時半頃なんとなく出発という事になった。
狸隊長が後で「もう少しゆっくりする予定だった」と言っていた。
う〜ん、そうだったのか。
それならもう少しゆっくりすれば良かった。

幕営地からすぐに谷は岩が立ち狭まる。
流れは淵になっていて渡ろうと思えば胸まで浸かる事になるだろう。
ここは昨日釣りをしていて魚影が濃いが釣れなかったところだ。

右側の岩場をへつっていく。
ここを越えるとすぐにまた深い淵が現れる。
「昨日までの沢の雰囲気とは違いますねえ」
とたろうさんはうれしそうだ。

しかし朝から水につかるのは嫌なので巻く事にする。
薄い踏み跡が付いていてそれを辿って簡単に巻けた。

雰囲気のいいゴルジュを過ぎると一旦谷が開ける。
更に進むと谷はまた狭くなり再びゴルジュかと期待する。
しかしそこは時折深い淵があるものの瀬歩きが続く。

先頭を歩いていたたろうさんが立ち止まって何かを見ていた。
何かなと思ってみるとザックのようだ。
瀬の横の岩壁に置いてあるように立っている。
中身は蕗のようだ。
山菜採りがここに荷物を置いてどこかに登っているのだろうか。
声を出して呼びかけてたり笛を吹いたりしたが反応はない。
なんだろうなあと皆頭をひねった。
忘れ物かなあ。
とりあえず狸隊長が写真を撮った。
これが後でおおいに役に立つ事になった。

ザックをそのままにして先に進む。
狸隊長が立ち止まって上を見て先を進んでいた僕を手招きをした。
「道の跡がある」
ふと見るとヤブに埋もれるようにして幅1mくらいの道跡らしきものが続いている。
昔の作業道だろうか。
辿ったらどこに行くのだろう。
興味があるが今は辿る余裕はない。

瀬歩きが続いて沢が広くなってくると周りは素敵な樹林帯が広がるようになる。
巨木も混じっていてなかなかの雰囲気だ。

やがてミト谷の出合に出る。
このミト谷は笹ケ峰へと続く。
いつか行ってみたいルートだ。
よく覚えておこう。

ミト谷出合を越えるとしばらく里山の雰囲気が続く。
その後再び岩場が現れ広い淵を持つ小さな滝が現れる。
それを左側を岩を登って越えるとその向こうにまた同じような滝が現れた。
まるで双子のような感じで思わず笑ってしまった。

更に進むと岩の上の窪みにたまった水の中にイモリ(?)が数匹いた。
狸隊長はそれを引きづり出して写真撮影。
僕もそれに便乗させてもらった。

進むペースが随分早い気がする。
「このペースだと昼までにウソ峠に着きそうだね」
というと狸隊長から返事が返ってきた。
「え!もともとその予定でしたけど」
そうなんだ、知らなんだ。
でもそれにしても早い気がしたので休憩をとる事にした。

休憩中は沢靴のフェルトの話をしてみた。
みんなどうしているのか前から気になっていたのだ。
張り替えるとどうやら8000円くらいかかるらしい。
これには一同「新品が買える!」と同じ意見。
山道具屋の策略か。
たろうさんも狸隊長もフェルトの張り替えはした事がないらしい。
僕自身は前の靴で三回張り替えたが見栄えが悪いものの特に使用に問題はなかった。

またGPSの話も出た。
僕が持ってないというと驚かれた。
そろそろ買った方がいいのかな。
安いので2万円弱で手に入るようだ。

休憩後は同じような瀬歩きが続く。
周りの樹林も二次林が目につくようになってきた。
時折岩床があらわれてお!っと思うが長くは続かない。

やがて右岸側の上部に林道の吹付けが見えてきた。
ここからは沢は薮沢っぽくなり流れも細くなる。
この感じが林道に上がるまで続く。
たろうさん曰く「苦行ですね」

地形図で林道が左岸から右岸に渡るところで林道に上がる。
随分きれいな林道で車で入れそうだなあと思っていたら途中で抜けていた。
「ここが最大の核心部だったりして」
と冗談をいいながら歩いていくとすぐにウソ峠に着いた。
予定より随分早かった。

狸隊長が林道入り口で立ち止まって何か見ている。
それは行方不明者の情報提供を促す立て札だった。
その中に「黒色のザック」という項目がありハッとなる。
沢で見つけたあのザックと特徴が同じではないか。

帰りに横山ダムを過ぎたあたりで派出所をみつけた狸隊長がザックの事を届け出た。
先に道の駅に戻っていた僕は電話をもらって後戻りして一緒に情報を提供する。

後日、揖斐警察から僕のところに電話がありザックは回収され本人のものと確認されたとの事。
早く本人が見つかるといいのだが。

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