前半は変化に乏しい流れが続くが周りは自然林が豊かだ。
中頃から2〜3mほどの滝が連続する。
登り頃の滝が多く、楽しく越していく。
連瀑帯が終わると垂壁にかかった大滝が現れる。壮観だ。
20m程の大滝。垂瀑ではないが登れない。左手から木々をたよりにモンキークライム。
休憩地から眺める山並み。夏空の下で輝いていた。
西ノ水の三角点。これといった目印もなくヤブの下に眠っている。
下りの尾根から見えた大白木山と高屋山。
「憩の家」で前夜泊。
そばつるは仕事が終わってから駆けつけた。
台風の影響でかなりの雨が降った。
これでは沢は無理かとそばつるは残念な様子。
翌朝準備をして岩ノ子谷に向かってみると意外と沢が落ち着いている。
一晩降らなかっただけで水量がかなり落ちたようだ。
これだったら沢でいけるなと沢装束で車止めを出発。
西ノ水谷の出合に架かる橋から流れに下りる。
案の定沢の流れは落ち着いている。
しばらくは小川のような流れが続いて変化に乏しい。
それでも時折現れる栃の巨木が目を楽しませてくれる。
しかしアブがうるさくゆっくり景色を楽しめない。
やがて沢は1.5〜3m程の小滝が連続する連瀑帯となる。
形のいい淵を持ったものも多い。
登り頃の滝が多く楽しい。
やがて目の前にこれは、という大滝が現れた。
垂壁ににかかる滝は30mはあるだろうか。
あるいはそれ以上か。
いい形の滝である。
美瀑と言えるのではないか。
岩ノ子谷流域の沢に入るのはこれで3度目だがこんな大滝があるとは思わなかった。
問題はどうやってこれを越すか?
左手を見るとどこも岩が立っていて自分たちには登れそうもない。
で右手から上部にあがってトラバースして落ち口に出る事にした。
右手にある栃ノ木の大木のあたりから登って斜面をトラバース。
思ったよりも簡単に巻けて落ち口に出る事ができた。
落ち口から下を見ると自分たちが歩いた草むらに道ができていた。
簡単に巻けたとはいえそれなりの緊張はあった。
その緊張をほぐすためしばらく休憩。
大滝の上部は豊かな樹林と岩場。
流れはゴルジュの中へと続く。
休憩地からすぐ5m程の滝があり左から巻いていく。
その後にまた大滝出現。
今度のは20m程か。
直登は技術のある人ならできるかもしれないが僕らには無理。
で巻くルートを検討する。
右岸、左岸とも樹木はあるがほぼ崖に近い。
どちらも難しそうだ。
しかしどちらかと言えば左手側はいけそうな感じ。
でそばつるを下で待たせて草付きを登っていく。
ある程度登って上部を探ると木々をつないで何とか登れそうだ。
そばつるに登ってくるように声をかけて自分は先に進む。
絶壁のモンキークライムが続く。
つかんだ木々がもし折れたらそのまま十数mは落下しそうだ。
なんとか木々や根っこをつないで安全圏と思われるところまで到達。
下で待っているそばつるに「自分で登ってこれるか?」と声をかける。
OKの返事だったので更に先に進み小尾根の上に出た。
そばつるの到着を待ってザイルを出して斜面を落ち口に向かって下りていく。
落ち口には簡単に下りる事ができた。
落ち口からしばらく登ったところでランチタイムとした。
そばつるが久し振りの山行で今ひとつ調子があがらないみたいなのだ。
ゆったりとした休憩をとった。
休憩地からは対面にどこかの山の稜線が見え青空がのぞいている。
濃い緑の中に夏の陽が差す。
いい感じだ。
遠い日の夏休みを思い出す。
休憩後は更に沢を詰めていく。
最後はうるさい笹ヤブがあったがそれもわずかでほぼ予定通り三角点西の鞍部に出た。
稜線上は灌木やらシャクナゲやらのヤブがうるさい。
そのヤブを漕いで三角点へ進んでいく。
休憩地からきっかり一時間で西ノ水の三角点に到着。
西ノ水の三角点は昨年も訪れている。
しかしその時よりも周りの灌木が生い茂っていた。
このままで行くとこの三角点はいつかヤブの中に埋もれてしまいそうだ。
下山は中水谷へ下りて沢を下る事も考えたがそばつるの調子を考えると無理はできない。
で尾根を下っていく事にした。
尾根にはうっすらと踏み跡はあるもののほぼヤブに埋もれている。
その中をなんとか探り探り進んでいく。
道のないヤブコギと何ら変わりない。
後から付いてくるそばつるの足下は沢靴のまま。
スニーカーを持ってきていると思ったら「憩の家」に置いてきたそうだ。
???なんで置いてきちゃったんだろう。
歩きにくい足下にそばつるは「あ"」とか「ゔぁ」とか「うゔぇ」と奇声を発している。
最初のうちは大丈夫かと振り返ったりしたがそれもあんまり頻繁なので
そのうち無視するようになった。
本当の悲鳴をあげても無視してしまうだろう。
尾根はヤブコギが続く。
特にシャクナゲがうるさい。
そばつるならずともこれには参ってしまう。
8月の陽気に大量の汗をかきつつの尾根下り。
最後の植林を抜けようやく岩ノ子谷林道に出た。
しばらくいなかったアブがまたまとわりついてきた。