取付きの急斜面を登り尾根上に出る。
親谷側に滑降で来そうな開けた斜面が現れる。
尾根が広くなると穏やかな樹林帯が広がる。
東には小津権現山と花房山。
ブナが多くなってくると雪質がよくなってきた。
山頂まで後一息。
山頂からは横山ダム湖が見下ろせる。
ブナの樹林帯で快適スキー。
R417を徳山方面から南下して親谷が近づいてくると正面に目を惹く尾根が現れる。緩やかに弧を描いて天に昇っていくその姿は実に美しい。ここを通る度、いつも見とれてしまうのだ。この尾根を登ってみたい。
ヤブコギネットの山日和さんが3年前にこの尾根をレポしている。その時は東尾根から登って北東尾根をおりる周遊だった。上部のブナを主体とした樹林がすばらしいらしい。そのレポを久々に読み返してますますこの尾根に行きたくなった。
藤橋道の駅に会社から直行して前泊。一週間前はまだ寒波の影響で雪が舞っていたこの辺りもここのところの陽気で道路沿いの雪はかなり溶けたようだ。と思って安心していたが翌朝取付き口に向かうと横山ダムより奥はまだまだ路面にも雪が残る状態だった。今年の寒波は馬鹿にできなかった。
道路の両脇は雪の壁になっていて駐車スペースがない。取付きのフェンス階段口にスキーとザックをデポして親谷の林道入り口まで進む。林道は雪で埋もれているものの入り口は車2台分程雪解けしてあった。恐らく釣り人の為に作った駐車スペースなのだろう。しかし公共の場だから遠慮なく使わせてもらう事にした。
フェンス階段口まで徒歩で戻り、雪に埋もれた階段を上ってフェンス内に入る。ここでスキーを履きいざ出発。
尾根の取付きは思っていたより登りやすい。急斜面なので左右に広く振って徐々に高度を上げていく。ピンクの目印がしてありそれが登りの目安となった。ただ雪が腐り気味でストックを立てると最初抵抗があるが少し突くとザザッと潜っていく。歩きならやっかいそうだ。
すぐに尾根筋に出る。細い尾根だが登るのは難しくない。右手下には駐車地が見え意外と高度を上げているのが分かる。
雑木林を抜けると右手が開けた斜面になる。滑ったら楽しそうな斜面だ。親谷の徒渉さえできれば下山はこちらを滑り降りていってもいいのかもしれない。
急斜面を登ると標高点527。ここは広くて穏やかな雑木林の尾根だ。ここも右手側は開けた斜面になっていて思わず飛び込みたくなるが先がどうなっているのか分からない。
しばらく穏やかな広い尾根が続く。特に難しいところもなく朝陽の当たる樹林帯の中を気分よく歩いていく。振り返ると樹間から小津三山、右手側には樹林の向こうに黒津山や五蛇池山といった雪稜がみえる。
高度を上げていくと次第にブナの姿が目につくようになる。更に進んで尾根が細くなり右手側に緩い沢が現れたあたりからブナが一気に増え一面ブナ林となる。
ブナの斜面を登って緩やかな細い尾根に出る。そこを進み小さな鞍部を越えると広い尾根になる。ここからがまた素敵なブナ林になっている。このあたりは雪質もよくて下山時にここを滑るのがとても楽しみだ。
ブナ林に感激しながら高度を上げていくと左から尾根が合わさってきてピークに出る。東尾根とのジャンクションだ。そこから西に進んでいくと左手側が開けた稜線に出る。前方を見ると天狗山のピークが間近だ。
稜線の左下は既に雪割れが生じていて今にも雪崩れそうな感じだ。恐ろしげな感じなのでなるべく稜線の右側を通っていく。急斜面を登ってわずかに進むと右手側が開ける。晴れていればここから県境稜線などが見えるはずだが今日はもやっていてミノマタどまり。それでも満足いく眺めだ。ここからさらに進むとこんもりとした天狗山ピーク。山名パネルは一番高いところからわずかに下ったところにあった。
三度目の訪問だが何時も眼下の奥揖斐湖とその向こうにデンと構える小津権現山に目を惹かれる。今回も惹かれるようにして奥揖斐湖が見下ろせる位置で休憩をとった。
2月だというのに春のようなのどかな日だ。日差しはさほど強くないが気温が高くて無風。まわりは白い雪景色。天国があるとすればこのようなところか。心行くまでのんびりしよう。
ゆったり休憩をした後はシールを外して滑降。まずは天狗山ピークから稜線までを一滑り。なかなかいい感じだ。稜線は少し登り返さなければいけないのが辛いがジャンクションから北への斜面はブナ林のすばらしいツリーラン。どこまでも滑っていたい気分になる。しかし素敵な斜面はあっという間に終わって980m付近の窪地の左岸側に出た。ここから窪地をトラバースし右岸側の尾根に登り返してブナの斜面を一滑り。しかしここら辺りはすでに雪質が重くなっていた。
登っている時はいい感じに思えた雑木林の尾根もスキーで下るとなると樹林の間隔が少し狭い。それに雪質も悪くなって思うように滑れない。それでもなんとか滑り降りていくとそれはそれで楽しい。
最後の尾根筋からフェンスまでの斜面はかなり腐った雪となっていた。樹間が狭い急斜面という事もありここは斜滑降とキックターン。フェンスまで降りると下の車道を何台かの車が通り過ぎていった。まるでこの素敵な尾根には気付かないままで。