小雨の降る中を林道を歩いて取り付きに向かう。
取付きからしばらくは急登。
芦倉山手前の台地に着くと晴れだした。
早々と宴会モード。
痩せ尾根の急登を慎重に登っていく。
振り返れば野伏ケ岳、小白山が美しい。
芦倉山山頂は絶好の展望地。
丸山までの尾根には恐ろしげな雪庇も。
丸山への最後の急登。
丸山から沢沿いのバーンを楽しく滑った。
4月9日
4週連続の石徹白訪問は石徹白川を挟んで薙刀山、野伏ケ岳、小白山の対岸側にある芦倉山、丸山を訪れた。
土曜日は予報が悪い。大垣を出発した時から雨模様。白鳥についても時折強めの雨が降り山行が思いやられる。
道の駅で共同装備を配分し白山中居神社に向かう。
何時も混み合う白山中居神社の駐車場は時間が遅いにも関わらず車が少ない。こんな天気のなか山へ向かう人は少ないということか。
雨の中を出発。参加者は僕を入れて13名。賑やかな出発となった。
石徹白川沿いの林道は除雪されており歩くのには問題無し。雨のため増水した石徹白川は濁流となっていた。
1時間もしないうちに予定の尾根取付きに到着しここから雪上歩行となる。僕はスキーなので沈みはあまり感じなかったが雨に打たれた雪は壷足だと歩きにくいらしく途中でみんなワカンを履いていた。その隙に僕は先行。かなり先行したが尾根は徐々に斜度を増しルート取りが難しくなる。最上部あたりで直登してきた歩き組にあっさり追い越されてしまった。
尾根を登り切るとまだ雪のついている林道に出る。そこからわずかに進み雑木林の急斜面を登る。歩き組は直登していくがこちらは斜面を広くとって斜度の緩やかなところを選んで登高。ここでは先に上部に出る事ができた。
斜面を登り切ると起伏の少ない穏やかな地形の稜線となる。稜線上には所々立派なブナが立っているが左手はずっと植林が続く。雨は降り止んだものの進行方向にはガスがかかったままだ。
やがて標高点1464手前の台地に出る。ここがいかにもテン泊向きで予定では芦倉山までテントを担ぎ上げる事になっていたがここで張る事となった。重い荷物を担ぎ上げる必要がなくなってみんな大喜びだ。
早速全員でテントを張り、食事用に雪テーブルを作る。時間は早いがみんな宴会に入る態勢だ。僕は少し付近を滑ってみようとガスが晴れて姿を見せている芦倉山の方に下見を兼て進んでみた。
明日の通り道になる標高点1464へ向けて急斜面を登っていくと上部は穏やかなブナ林になっていていい感じだ。標高点のピークを越えると痩せ尾根となる。地形図を見てここからが難しいと感じていたところだ。実際に見ても難しそうだ。明日ここをどうやって越えていこう。
下見を終えてブナ林の斜面を気持ちよくツリーランしているとテン泊地の方から高らかな笑い声が聞こえてきた。テン泊地では既に宴もたけなわのようだ。あの輪の中へ早く帰ろう。
4月10日
まだ明けやらぬ内にテントから顔を出せば満天の星空だった。今日は文句無しの天気のようだ。
準備を終えて出発。流石に朝の冷え込みで雪面はガリガリになっている。昨日シールだけで登った斜面もクトーを付けて慎重に登っていく。
問題の痩せ尾根はスキーを背負ってアイゼン登高に切り替えた。それでも一部いやらしい登りがあったが歩き組のつけてくれたトレースのおかげでなんとか登っていく。
スキーの重さにヘトヘトになりながら芦倉山の山頂にたどり着いた。2度目の芦倉山だが前回となんだか印象が違うのは登ってきた方向が違うからだろうか。
山頂からは360°山山山の大パノラマ。北アから乗鞍、御嶽、奥美濃の山々、石徹白の山々、そして別山、白山。言うべき言葉が見つからない。
休憩を終え北に見える丸山に向かう。芦倉山からの下りはスキーで滑降。思ったより急斜面で一瞬躊躇したが陽が当たって雪面が程よく緩み気持ちよく降りられた。続く稜線も多少の登り返しはあったものの問題なく進む。
芦倉山から確認した雪庇が崩れて嫌な感じの1669ピークは緊張する登高を強いられそうで再びスキーを担ぐ。歩き組は稜線上の崩れそうなブロックをそのまま越えていったが流石にそれはちょっと腰が引けて左手の斜面をトラバースしてから上部に登っていった。
難場を越えてしばらく進んだところでスキーを履き続く広々とした斜面を滑降。丸山手前の最低鞍部でシール登高に切り替えた。
しばらくは緩やかな斜面が続く。木立が少なくなると斜度が徐々に増しキックターンが難しくなる。見上げれば紺碧の空の下、きれいな三角形のピークが僕らを手招きする。
稜線が穏やかになりわずかに雪庇を越えると待望の丸山ピーク。ここも芦倉山の山頂に負けず劣らずのすばらしい展望。四方を囲む山々の話に楽しい時間が過ぎていく。
僕らの他に登山者は初河山から登ってきたという単独の方ひとり。静かな山頂を楽しみにこられたのだろうがこんな団体がいてさぞかし面食らった事だろう。
下山は往路を下る。まずは丸山から一滑り。程よく雪が緩んだ急斜面の滑りは気持ちよくここまでスキーで来た甲斐があった。
滑降の準備をしている間に先行していった歩き組に登り返し手前で追いつく。一旦スキーを担いで登り返した後は1669ピークを避けて東側にわずかに滑り込み下から巻いた。
稜線に復帰して芦倉山への急斜面を登っていく。この登りがきつくキックターンに苦労しながら高度を上げていく。
芦倉山では丸山で会った単独の方が休憩を終え出発するところだった。その方を見送り歩き組を待つ間にシールを剥がす。
芦倉山から標高点1464までは横滑りを多用しながらの難しい滑降が続いた。それでも雪の切れたところで笹薮を越えるためにスキーを担いだだけで後はなんとかスキーで乗り切った。難しい場所を抜けた後は昨日滑ったブナ林を気持ちよく下りテン泊地に降りた。
テントを撤収し担いだザックが肩に食い込む。これだけ重い荷物を担いでの滑降は初めてで不安がよぎる。本当に滑っていけるのか。
しばらくは緩やかな尾根なのでなんの問題もなく滑り降りる。林道までの急斜面は腐った雪にスキーが沈むのが気にり斜滑降、キックターンを交えながら下る。これでなんとか不安箇所を乗り越えて林道で歩き組を待つ。ここからは林道を降りていった方が無難そうだ。
歩き組が来たところでここから林道を降りていく事を伝えて歩き組と別れる。
林道はずっと雪がついていたがかなり腐っておりスキーが思うように滑っていかず低速走行が続く。下部に至ると雪が切れているところも数カ所あった。最下部の舗装路からは除雪されておりスキーを担いでテクテクと中居神社駐車場まで歩いていった。辿り着いた駐車場には我々の車のみが寂しく停まっていた。