ほうのき平スキー場から牛首尾根を目指す。
尾根前半は切り開きがあり歩きやすい。
鞍部を越えてからは急斜面が続き難しい場面も。
尾根が広くなると楽しい雪上散歩となる。
スカイラインが近づいてくると斜度が増してくる。
雪に埋もれたスカイラインを辿ると眼前に四ツ岳が。
猫岳山頂はガスに包まれていて雪も舞いはじめた。
スカイラインから急斜面を滑り終えると後はおだやかなツリーラン。
牛首尾根で滑落。翌週スキー板を回収に行った。
ほおのき平スキー場の駐車場で前泊。ここは外部のトイレもきれいで言う事なし。
早朝、準備をしていると駐車場の各車がそれぞれスキーの準備を始めている。まだ6時前だ。そんなに早くリフトが動くのか?
後で知った事だがこの日はスキー場貸し切りで大会が開かれたようだ。レーシングスタイルのスキーヤーが朝っぱらからもの凄い勢いでゲレンデを下りてくる。ウォーミングアップだろう。その横をひとり場違いな姿でとぼとぼとゲレンデをシール登高。途中でスノーモービルに乗ったパトロールがやってきて「今日は貸し切りですので人の滑らないところを滑ってください」だと。どこを滑れってんだか。
ゲレンデ最高部から東に続く尾根に入る。夏道があるようで切り開きがあり歩きやすい。
穏やかな尾根をしばらく進むと「牛首尾根」の表示がある小高いピークを登る。急降下して鞍部に着くと登山道の案内板があった。
鞍部から先は地形図で見るとまるでトカゲの尻尾のような細い尾根が続く。ガイドには急斜面、滑落注意と書いてあった。確かに見る限り急な感じだ。しかも両側が切れ落ちていて確かに滑落には注意しないといけない。
いきなり雪が途切れてスキーを外して笹薮をパス。後はずっと雪が続いていた。しかし尾根が広くなる手前に壁のような斜面があった。しかも表面はクラスとしている。これはスキーでは登れない。スキーブーツでステップを切りながら何とかクリアー。
尾根が広くなると穏やかな斜面が続く。いい感じの樹林帯だ。どこで休憩をとってもくつろげそうだ。
やや尾根が狭くなったところを越えると広々とした針葉樹の樹林帯になる。斜度が徐々に増してきてキックターンを交えつつ進んでいく。広々とした樹林なのでキックターンからキックターンの間が長くとれて楽だ。やがて上部に乗鞍スカイラインのガードが見えてきた。後少しだ。
スカイライン手前は疎林になっていて滑るなら良さそうな斜面だが登るにはちょっと気を使う。左手側が比較的緩やかな感じなのでそちらからスカイラインに出る。
スカイラインといっても積雪期のこの時季、道の形はほぼなく山腹とあまり変わりない。そのスカイラインを辿って猫岳の南東尾根まで進む。右手に烏帽子岳、正面に四ツ岳がの眺めが迫力ある。
雪のたまった沢状のところから尾根をショートカット。尾根上に出ると東側には雪がまだびっしり。下りはこれを辿っていけばいいわけだ。
スカイラインに出たあたりから空模様が怪しくなってきた。出発する時は天候が崩れるなんて信じられないような晴天だったが天気予報もたまには当たるようだ。山頂を目前にして風が出てきて雪も舞いだした。
ガスも出てきてなんだか怪しい感じになってきたがなんとか山頂を踏んですぐに下山にかかる。スキーのシールを外している間にも雪が強くなってくる。やばいなあ、早く降りよう。
山頂からの滑降はホワイトアウト状態でちょっと気を抜くと身体がフワッとしてこけてしまう雪酔い状態。それでもなんとかスカイラインに出ると若干視界がいい。
スカイラインから登ってきた斜面に飛び込む。雪がちょっと重めだがなかなか楽しく滑れた。やがて樹林が混んでくると雪面に細かい凹凸があってターンがしづらい。
斜面が緩やかになったところで休憩をとった。さあ、楽しみにしていたビールを飲もうと缶を出すと…なんと一緒にザックに入れてあったクトーの歯で缶に穴が空いているではないか!ビールはザックの中を満たしていた…とほほ。気を取り直してウィスキーで乾杯。
休憩地から先は緩やかな斜面が続く。問題だったクラストした壁は横滑りでクリア。これで後は問題無し。と思っていたのだがこの後アクシデントが発生した。
実はその時の記憶があまり定かでないのだがあと少しで牛首の鞍部というところの北斜面側で滑落してしまった。何がきっかけだったのか、その前後どうしていたのかの記憶がほとんどない。とにかく横に滑り出して止まらず、やっと止まったと思ったらすぐにまた滑り出しどれだけ滑り落ちたのかも定かでない。気付いた時にはその場を逃れるべく尾根上に向かって登っていた。スキー板、ストック、ゴーグル、ニット帽は滑落中にどこかに飛んでいってしまっていた。それらを回収しようという考えが浮かぶような精神的余裕はなかった。膝を傷めていたし、左肩も脱臼したし(滑落中に脱臼して入ったようだ)頭部も少し打ったようだ。
実は4月10日(土)にスキー板等を回収すべくこの地点に向かった。まだ身体は痛んでいたがむち打って登った。幸いな事にすべて見つける事ができた。ニット帽は尾根上からそれほど下がってないところにあった。ゴーグルは100m以上転げ落ちていてかなり下部で見つけた。よく見つかったものだ。すべてのアイテムがほぼ同じラインに散らばっていた。そこから考えるとこのライン上を滑落したのだろうがその現場を見ても全然覚えがない。いったいどうやって滑落したんだろう。