1011takimotokitan of 鈴鹿・美濃の山歩き

PB210057.JPG滝本北谷
2010年11月21日(日) 晴れ 滝本北谷 南紀 沢歩き
SHIGEKIさん Yさん Tsutomu

7:35 滝本集落集会場駐車場 → 8:00 筆薮滝 → 
10:00 ケヤキ原滝 → 12:16~13:40 比丘尼滝 → 
14:10 取水堰堤 → 16:10 駐車場



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静かな寒村から林道を辿る。

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林道終点から大きな淵を持つ「筆薮滝」を見る。

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豪快な「猿手滝」この右岩場をよじ登っていく。

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「部屋滝」は高い壁のゴルジュの奥にあった。

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穏やかな表情の「留湾殿滝」。絵になる。

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この沢一番の「ケヤキ原滝」

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端正な佇まいの「屏風滝」この上に「龜壷の滝」がある。

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両脇が高い壁となった九十九折りの滑床を楽しく遡行。

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「比丘尼滝」の前は大きな川原でここで休憩。

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もう終わりかと思いきや更にすばらしい滑と壁が…

 7時を過ぎているというのに妙に静かで人気が感じられない。老犬の張りのない鳴き声が寂しく村に響き渡る。果して人は住んでいるのだろうか。そんな事を思いながら沢支度を急ぐ。ここは熊野川町滝本。
 
 「南紀の沢に行きませんか?」
 SHIGEKIさんからメールが入ったのは木曜日。少し迷ったが南紀なんてそうざらに行く機会はないだろうと「行きます」と返事を出した。目的地は「滝本北谷。」パソコンで調べるといくつものレポートがヒットした。有名な沢なのだ。

 土曜日の昼過ぎ、名阪自動車道の針IC近くのコンビニでSHIGEKIさんの車に乗り合わせた。ここでさえ大垣からは遠い地だ。この先は尚更でこの先はSHIGEKIさん達に任せきりとなった。

 車窓からのぞく景色が妙に珍しかった。いくつものダムが出現し目をひいた。広々とした川原の続く熊野川は異郷の川に思えた。

 瀞峡熊野川道の駅に前夜のねぐらを決めて饒舌な宴会が始まる。気がつけばシュラフに包まれてテントの中に横たわっていた。
 
 早朝、滝本まで山間のうねった道を進む。時折現れる「勝浦」を示す小さな道しるべが確かに南紀にいる事を教えてくれる。やがて幾つか人家の建つ小さな盆地に出た。ここが今回の沢の出発地となる滝本だ。集会場の前の駐車場に車を停めて準備を始めた。

 集会場駐車場から滝本北谷に続く林道を歩き出す。道路脇には「平維盛が隠れ住んだ藤綱の要害」という手書きの道案内板が立っていた。「平維盛」という歴史上の人物の名にこんな寒村で出会うとは思わなかった。しかし考えてみればこの滝本北谷を登っていくと熊野古道に出合うわけで「平維盛」の名があったとしても意外ではないのかもしれない。

 林道を進みいくと右岸山腹が一面伐採され無惨な姿をさらけ出していた。そこを過ぎてわずかで林道終点。ここも周りが伐採されて殺伐とした雰囲気だ。と、その殺伐とした風景の向こうに青々とした大きな渕が見えた。中程には10mほどの滝がかかっている。「筆薮滝」だ。このような林道の近くにあるのがかわいそうな感じだ。
 
 「筆薮滝」を右岸の杣道を通って巻くとゴーロに出る。そこをわずかに進むと何の為に築かれたのか整えられた石垣が苔むしていた。不思議に思いながら更に歩を進めると右手奥に「部屋滝」左手奥に「猿手滝」が現れる。いずれも20m前後の滝で迫力がある。特に「部屋滝」手前のゴルジュは数十mはありそうな壁になっていて圧巻だ。

 「猿手滝」右側の急な巻き道をフィックスロープを頼りながら巻いて「部屋滝」の落ち口に降りる。下を覗き込んだが足がすくむ感じだ。

 わずかに滑床を進んでゴーロを越えると眼前に大きな滑滝が現れた。「留湾殿滝」だ。調度色づきのいい紅葉と相まって実に美しく3人ともしばし見とれる。

 この後も見応えのある滝が目白押しとなる。この沢で最も高い「ケヤキ原滝」、整った造形が美しい「屏風滝」、その上に重なる様にかかる「亀壷の滝」。どれをとっても一級品と言えるだろう。いずれも巻き道がしっかりとあり越えていくのには問題なかった。「亀壷の滝」から上は高い壁を要したすばらしい滑床の流れがしばらく続く。水を踏む音がチャプチャプと響き実に心地いい。やがて滑床が途切れるも沢に敷き詰められた落ち葉がとても美しく飽きさせない。
 
 植林が見えてくると広い川原に出る。その奥に20m程の滝がかかる。今回の遡行最後の滝「比丘尼滝」だ。この滝を見ながら今日の遡行を振り返りつつ休憩した。

 ここを越えれば後は下るだけだと休憩を終え「比丘尼滝」を右手から巻いて上がる。するとその上に3人とも予想だにしていなかった風景が現れた。すばらしい滑と岩壁の競演。この一角だけでも十分訪れる価値ありといえそうだ。

 すべての滝に名が付くこの沢も取水堰堤が現れていよいよ終わりとなった。後は導水道巡視路を利用して左岸尾根に上がり地形図上の境界線上を歩いた。

 この尾根は伐採植林中で見晴らしがよく周囲の山並みがよく見えた。大雲取山のピークも見る事ができた。しかしその眺めのほとんどは黒々とした植林だった。今回辿ったこの沢を取り巻く一帯は広大な植林地帯なのだ。そう思うと先ほど見た豪快な滝も逞しい岩壁もなぜか弱いものに思えてきた。まるで陽炎のような…

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